26、7年も前の話になるだろうか、当時働いていた会社の事業部の工場が木更津の研究所に付随してあった。そこの責任者とも言える人と雑談している時に、彼が「近くに外人が住んでいるけれど、彼は自分の国の地元の事を良く知っている。われわれ(今の)日本人は、何か話そうとしても話せない。それで、最近、今更ながらに勉強しているんだ」、と話した。その後、その事が頭にこびりついていて、少しずつではあるが、生まれ育った街や住んだ街について勉強し始めた。
 次に示す ”<軍港都市>横須賀” は、横須賀の一面(といってもかなりを示す面)を著しているお薦めの本である。

 横須賀に住んでいて、観光や経済がいつまでも「軍」に依存しているのを不思議に思う。では、この本に解答が書かれているのかというと、残念ながらそれは見当たらない。だが、横須賀と「軍」の歴史を知ろうとするならば有用である。

 当初、市民は「軍」誘致には積極的ではなかったという。しかし、いつの間にか海軍のみならず、陸軍、空軍も進出し、いつの間にか「軍」の街になったらしい。戦後は、「平和都市」を目指すも、米軍が駐留し続け、最早、「軍」を抜きにしては横須賀の社会や経済を語られなくなってしまっている。

 著者は淡々と事実を重ねて書いている。その分、偏った主張は見受けられない。それが、かえって不満に感じられる面もあるだろう。

もし、横須賀と「軍」との関係を手っ取り早く概括したいなら、エピローグを読むといいだろう。