仙台に行った時には必ずと言って良いほど、地元でしか購入できないだろうと思われる仙台に関する本を探して廻る。

 今年(2019年)は11月に大学の研究室の同窓会があり参加した。日帰りだったので、帰りの電車待ちの時間で駅前の書店ををうろうろした。

 見つけた面白い本は、2008年に仙台文学館が発行した「仙台、言葉の幸。 せんだい現代文学案内」である。

 執筆者は、いずれも何らかの繋がりで仙台に縁のある人たちである。ただ、高校時代を仙台あるいは宮城県で過ごしたのは、井上ひさし、小池光、佐伯一麦、熊谷達也、小池真理子、若合春侑(わかい・すう)のみ(ただし、恩田陸は、水戸一出身だが、中学は五橋)。

 彼らが描いた仙台や近隣の場所・土地を作品(文章)とともに紹介している。企画として大変面白いと思ったが、誌面に限りがあるので致し方ないのだろうが、場所についての解説は思うほど掘り下げられてはいない。仙台を描いた作品とその場所についての入門書と思えば良いだろう。

  71ページの小冊子で、定価1000円は現時点では妥当と言えるかもしれないが、発行当時は若干高く感じられたかもしれない。購読者のあまり多くなさそうなのと、文学館発行なので致し方ないのかもしれない。

追)

 読みたいと感じたのは、60年代末から70年代初頭にかけて著者が暮らしていた仙台を舞台にした「水の翼」、「望みは何と訊かれたら」という小池真理子作品である(「無伴奏」については読了済み)。
(大学の後輩でもある伊坂幸太郎作品の数々は、仙台の街と思われる街で起きる出来事が描かれいるらしいので、以前から読みたいと思っているのだが読めていない)